2018年9月29日志朗ルンピニー判定負け
現役ルンピニー&プロムエタイランカーペットアサウィン・シットサラワットスア 。
現役王者を3名輩出している名門シッサラワットスアジム所属で後半に強く組んだ時の力強さと打たれ強い事で有名な事もありムエタイで1番重要な賭け率も今回はペットアサウィン有利で始まった。
1ラウンドは、お互い距離を確認しあう所から始まり、今回も志朗の得意な右ローが当たり始めるが、ペットアサウィンも気持ちが強くすぐに蹴りやミドルを返し連続で当てさせない。
2ラウンド
徐々にスピードを上げる両者。志朗は相手が得意な3.4ラウンド目までに足を効かせる作戦で、上手く右ローを当てペットアサウィンは徐々に嫌な顔を見せ始める。2ラウンドが終了した時には、相手の左太ももは志朗のローで赤紫になっていた。
インターバルの時、志朗のセコンド陣営に対して、志朗に賭けているギャンブラーから、「志朗が勝てば、特別ボーナスとして、2万バーツ(約6万)のチップを渡すから、絶対に勝て!」とゲキを飛ばされた。
3ラウンド
志朗のローが効いてきたせいか、ローを警戒して、左足をあげながら前に来るペットアサウィンは、志朗がローを出そうとすると、すかさず距離を狭めてくる作戦を取ってきた。組ませまいと志朗もさばこうとするが、ペットアサウィンの入り方は早く、さばききれずに組まれてしまう。
攻撃も単発的となり、当てにいこうとするタイミングをうまく狙って、志朗の距離をつぶしにくる。賭け率もペットアワウィン有利に動きはじめた。
志朗 コメント:3ラウンド始まる前に、ダメージが足に来ているから、セコンドからローキックをもっと当てろという指示があったので、ローを出そうとしましたが、相手も作戦を変えてきて、ローキッやパンチを出す距離をことごとく、つぶされてしまいました。組んだ力は、思っていたより相当強く、力負けしてしまいました。
4ラウンド目
ムエタイで最も重要なラウンドである。ペットアワウィンは、前のラウンドよりも、更に組む力を強くして首相撲を仕掛けてくる。首相撲からの膝蹴りは、ペットアワウィンの得意な勝ちパターンであることを会場内のギャンブラーは知っている。
このまま負けるかと思われたラウンド終盤、志朗の起死回生のバック肘が顔面に命中して、ペットアワウィンが一瞬よろめいた。
すると、試合のすう勢は、志朗負けで決まったと思われていたが、静まりかえっていた場内が歓声で湧き上がり、志朗コールが会場に響き渡った。
それからは、肘打ちの応酬や膝蹴りの攻防でも志朗が有利な展開を見せ始めると、賭け率が同点近くにまで戻り、勝敗は、最終ラウンドまでもつれ込むことになった。ギャンブラーが1番大好きな試合展開になっていった。
インターバルでの志朗勝利への特別ボーナスは7万バーツ(約25万円)まで跳ね上がり、その情報が伝わると会場内はさらにヒートアップしていった。
志朗コメント:セコンドからは、もう少しで逆転できるから、どんどん攻めていけと言われたことは覚えていますが、首相撲の攻防で体力消耗が激しく、どういう指示があったか、よく覚えていません。バック肘があたり、会場が盛り上がったのはわかりましたが。
5ラウンド
志朗は、セコンドの指示通り、積極的に攻撃を仕掛けていった。志朗がペットアワウィンの顔面がゆがむほどの強烈なパンチを決めると逆転を期待した会場内は志朗コールに包まれて、セコンドの声も聞きとりにくいほどだった。しかし、志朗の善戦もここまでだった。日本人に負けられないペットアサウィンは、強引に距離を縮めて、首相撲に持ち込み、勝ちパターンに徹してきた。
中盤にペットアワウィンのミドルキックをキャッチし、倒そうとした志朗だが、逆にバランスを崩して倒れてしまい、賭け率は一気に対戦相手に流れてしまった。志朗は、最後まで諦めずに肘やパンチをあてにいくが、倒すまでいかず試合終了のゴングが鳴った。試合は、志朗が負けたが、試合後のダメージはペットアワウィンの方が大きかった。歩くことも難しく、会場を後にするときは、同僚の選手に抱きかかえられるようにしていた。
志朗コメント:ジムの会長、トレーナー、それに関係者からは、大変いい試合だったとほめられました。ムエタイは試合結果も大切ですが、試合内容も重要なので、試合内容が評価されました。負けはしましたが、よかったです。会長やトレーナーからは5ラウンドの接戦で経験値の差が出たと言われました。
■試合後の志朗のコメント:
プロモーターからは、これからは現役ランカーとの試合をどんどん組み、経験を積ませて、自分を強くさせたいと言われました。試練の勝負が続きますが、期待に答えられるように結果を出していきたいと思います。今回の試合で勉強になったのは、ムエタイは賭け率が変わりながら、試合は進むので、試合中にしっかりとセコンドの指示を聞き、ギャンブラーに見栄えするような試合展開をしなければいけないということです。日本でも競輪や競馬などのお金を賭ける競技は、観客の目が厳しいそうですが、ムエタイもギャンブラーの目は、本当に厳しく、ムエタイの難しさを痛感しました。トップクラスのタイ人選手のハートの強さも勉強になりました。ローが効いていたのはわかりましたが、片足を上げて向かってくるとは思いませんでした。4ラウンド目からは、太ももが水ぶくれのように腫れあがっていましたが、試合が終わるまで顔色一つ変えないで向かってきたのには、戦っていて驚きました。
バカイペットと試合をして勝ったときは、日本のキックルールだったから勝てましたが、今回は、ランカークラスと本場タイのムエタイで接戦まで持ち込めたことで、自分の技術がムエタイのトップクラスに通用するまでに上達したことがわかり、とても自信になりました。
■日本のファンに向けた志朗のコメント
日本から毎回沢山の応援ありがとうございます。まだまだムエタイを理解しきれてない部分もあり凄く勉強になりました。
本場タイでタイ人に勝たないと意味がないと思いタイで試合をしていますが更に努力して頭を使わないといけないと思いました。
11月のRISEでは、肘が禁止されているため、練習拠点を日本に移して試合に臨みますが。強くなった志朗を日本の格闘技ファンの方々に見せれるように頑張ります。
写真撮影:จุลดิฐ ปานเพียร (Junladid Panprien)スポーツ専門チャンネルSMBテレビ(タイ)専属
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